引用:こないでコウノトリ
※『こないでコウノトリ』は現在連載中のため、あらすじは現在の最新話までになりますm(_ _)m
「漫画『こないでコウノトリ』の、最終回(結末)までのネタバレ&レビュー」
についてご紹介していきたいと思います!
「話のおさらいをしたい」
「これまでの話の流れを簡潔に知りたい」
「長くて追えなくなってきたけど今どうなってるの!?」
と気になる方はぜひご覧ください。
50話を近くをザックリとまとめました!
…ただ「こないでコウノトリ」は結構長いため、主に“物語の根幹に関わる夫婦のことのみ”を重点的にまとめました。
あらすじにネタバレを含みます。
セリフは省略しているため一語一句同じではありません。
ご了承ください。
- 登場人物紹介
- ①産みたくない私は異常…?
- ②女は子供が欲しいものだろう?
- ③美波との再会で変わるエリ
- ④「産みたくないの」正直に伝えた結果
- ⑤母のトラウマで出産が怖いと話すエリに…
- ⑥雅之の葛藤
- ⑦子供のいない人生か離婚か…選んで!
- ⑧親かエリか
- ⑨雅之は両親と縁を切れるのか?
- ⑩両親と絶縁した雅之
- シングルマザー野川さんのこれまで
- レビュー・感想
登場人物紹介
最初に主な『登場人物』を紹介しておきます。
御子柴 エリ(30):妻
御子柴 雅之(30):夫
美波 圭一(30):エリの幼なじみ
①産みたくない私は異常…?
夫と二人で暮らしているパート勤務のエリ。
エリは愛する夫と何不自由なく暮らしていたが、ある日突然夫の雅之から、
「そろそろ俺たちも子供作らないか?」
と言われる。
今まで子供の話なんてまったく話題に出なかったため、
「…え?どうしたの突然」
とエリが戸惑いながら聞くと、雅之は、
「女の人は普通子供が欲しいものだろ?」
と答える。
そんな雅之の言葉に、エリはピシリと固まってしまう。
というのも、エリは今まで子供が欲しいだなんてまったく思っていなかったからだ。
その理由は、幼い頃に母親を出産で亡くしているトラウマのためだった。
エリの母親は、本来ならばエリの妹になるはずだった赤ちゃんを産む際に赤ちゃんと共に亡くなってしまったのだ。
このことから、
『…妊娠出産は女の人生を変えるどころか、終わらせることもある』
とエリは恐怖を抱き、子供を産むということにいいイメージを持てなくなっていたのだった。
しかし、エリはこのことを雅之に話せずにいた。
何故ならエリは、自分よりも稼いでいる雅之に負い目を感じていたからだ。
『自分は夫に養われている…。ただでさえ弱い立場なのに、そんな自分がその上「赤ちゃんは欲しくない」なんて普通ではないことを言ったらきっと夫を困らせてしまう…』
エリはそんな風に思い、「子供は欲しくない」とずっと雅之に言えずにいるのだった。
またエリは、
『結婚したら赤ちゃんは産むもの』
『女は赤ちゃんを欲しがるもの』
という世間の風潮にも心底げんなりしていた。
世間の風潮も相まってより一層「子供は欲しくない」と主張することが憚られ、エリは、
『産みたいと思えないこの気持ちは誰にも理解されない…』
と、ずっとひとりで悲しみを抱えていたのだった。
②女は子供が欲しいものだろう?
今まで子供のことについてあまり真剣に考えてこなかった雅之。
しかし雅之は、弟夫婦に子供ができたことで急に焦り始める。
というのも弟夫婦に子供ができてからというもの、やたらと雅之の母親が、
「お前の家はまだか?」
とせっつくようになり、挙げ句の果てには、
「子供がいないお前の家庭より、子供がいる弟の家庭の方が優れている」
と、遠回言うようになったからだ。
『弟に先を越された…!長男は俺なのに…!』
とプライドが傷付けられた雅之は、
『弟は昔っから自分勝手な人間だから、いい夫になれるわけがない!』
と弟を蔑み、弟への対抗心からか、
『エリが出産して幸せになれば、夫として俺は弟より優れていることになる!』
と考るようになる。
そこでエリに、
「そろそろ俺たちも子供作らないか?」
と切り出した雅之。
しかし、エリはあまりいい反応を返さなかった。
子供を欲しがらない女などいないと信じ切っている雅之は、このエリの反応を、
『…お金のことを心配しているのか?』
と解釈する。
そこで、
『俺がもっと稼いで安心させれば、エリは子供が欲しいと言ってくれるはず!』
と考え、今まで以上に仕事に精を出すようになる。
しかし『もっと稼がなければ!』と奮闘する雅之は次第に疲れていき、エリのことを蔑ろにする日が増えていく。
また、そんな雅之にエリもますます負い目を感じてビクビクするようになる。
二人の心はすれ違い、溝はますます深くなるばかりなのだった。
③美波との再会で変わるエリ
仕事で疲れて機嫌が良くない雅之に、怯えて過ごすようになるエリ。
そんなエリは、ある日ひょんなことから学生時代の男友達の美波と再会する。
美波は現在独身で、パソコン系のフリーランスで働いているという。
自分ひとりの力で働く美波のことをエリは眩しく思い、
「美波はすごいね…。それに比べて私はパート勤務で夫に養われてる立場だから、本当、夫に頭が上がらない」
と、つい自分と比べて卑屈になり少し愚痴を零してしまう。
しかしそんなエリに美波は、
「エリはパートもしてて家事も全部してるんだろ?
それって旦那さんもエリのおかげで生活できてるってことじゃね?
引き目感じる要素なくね?」
と、あっけらかんと言う。
そんな美波の言葉に、エリはハッとする。
そして、
『…なんで私、家事やパートの価値を、自分を夫より下だと思ってたんだろう?』
と、今までの自分の異常なまでの卑屈さを疑問に感じるようになる。
『…私は少し夫の顔色を伺い過ぎていたかもしれない。
…私は夫と対等になりたい!』
と、美波の言葉で少し自信を取り戻せたエリは、
『私は本当はどうしたいのか』
『私は夫とどんな関係になりたいのか』
を真剣に考えるようになる。
その結果、
『私は本当は正社員で働きたい』
『私は夫婦の負担を二人で分け合って生きていきたい』
という本当の気持ちにエリは気付く。
エリは本当は結婚前と同じように正社員で働きながら、雅之と二馬力でやっていきたいと考えていたのだった。
しかし結婚前に一度身体を壊して正社員を辞めた経験のあるエリは、雅之から正社員で働くことを固く禁じられていた。
そのため今までのエリだったら、
『…でもそうはいっても雅之に禁止されているしな』
とすぐさま自分の気持ちを諦めていたが、しかし美波によって勇気付けられていたエリは、
『夫に反対されても…私は私のやりたいことをしたい!』
と自分の気持ちに正直になる道を選び、早速正社員での働き口を探すことにするのだった。
そして、これまたひょんな巡り合わせから美波の職場で正社員として雇ってもらえることになるのだった。
④「産みたくないの」正直に伝えた結果
美波の仕事場で正社員として雇ってもらえることになったエリは、早速、
「正社員として働きたいこと」
「働き口もすでに見つけたこと」
を雅之に話す。
しかし案の定雅之は、
「…何勝手に決めてるんだ。いつ俺が許可を出した?」
と、エリが正社員で働くことを認めない。
「勝手なことばかり言って、誰の稼ぎでお前を養ってやってると思ってるんだ。仕事は今のパートまでだ。
…そもそも女せいは働かずに子供を育てた方が幸せなんだ」
と、心底うんざりしたように言う雅之。
そんな雅之の言葉に、エリは絶望の表情を浮かべる。
思ったよりも取り付く島のない雅之。
そして、思ったよりも『女はこういうもの』という決め付けが酷い雅之。
そんな雅之にエリは涙を浮かべながら、
「…私は雅之からの許可がないと仕事ひとつ自由に決められない。そんなのやっぱり変だって気づいたの」
と、静かに自分の気持ちを話し始める。
「子供のことも…今までちゃんと言えなくてごめんなさい。
私の意見を言ったら雅之に怒られるんじゃないかって、怖くて怯えてた。
養われている私には発言権も決定権もないって思い込んでたから」
と一生懸命話すエリは、意を決して、
「…私は、子どもを産むことが自分の幸せだとは思っていないんだよ」
と、自分の正直な気持ちを雅之に伝える。
エリの言葉に、
「………え?」
と、信じられない言葉を聞いたといったように固まる雅之。
そんな雅之に、
「…私、やっぱり新しい職場で働く。私は雅之と対等になりたいから」
と、エリは毅然と言い放つ。
しかしそれでも尚雅之は、
「…エリが自立できるわけないだろ!!俺が稼ぐからエリは家にいて子育てに専念してればいいんだよ!何で意地を張るんだよ!」
と声を荒らげて、エリの言葉をすべて否定する。
そして、そのまま雅之は部屋を飛び出して行ってしまう。
部屋にひとり残されたエリは、
『…好きで結婚したはずなのにどうして?』
と、その場に泣き崩れる。
意を決して自分の気持ちを伝えたエリだったが、結局雅之と分かり合うことはできなかったのだった。
⑤母のトラウマで出産が怖いと話すエリに…
雅之に反対されたものの、自分の意思を押し切って正社員として働き始めたエリ。
しかし、あれからずっと雅之とは気まずい雰囲気が続いていた。
エリは、
『なんとかしないと…』
と、雅之との関係修復を焦っていた。
そんなある日、エリは突然雅之から、
「…弟の妻との顔合わせがあるから、一緒に実家に来てくれ」
と言われる。
エリは「子供はまだか?」と執拗にせっついてくる雅之の母親のことを苦手に思っていたため雅之の実家に行くことは正直気が重いと感じていたが、弟の妻との顔合わせと言われると断るわけにもいかず渋々雅之に着いて行く。
雅之の実家に着き弟の妻との顔合わせも終えたエリは、早速恐れていた、
「雅之のところは子供はまだか?」
という雅之の母親からの攻撃を受ける。
そんな雅之の母親に、エリが苦笑いを浮かべながら内心げんなりしていると、
「エリだって産みたいと思ってる!」
と、突然雅之が大声を上げる。
雅之の信じられない発言に、
『この間の私の話を聞いていなかったの!?』
と、エリは驚きを通り越して絶望する。
『…何で未だにそんなこと言うの?…結局何も伝わってなかったの?…もう耐えられない!』
と追い詰められたエリは、致し方なく、
「…私の母は出産の時に亡くなっているので、私は出産にトラウマがあるんです」
と、全員が揃っている場で子供を産みたくない理由を話す。
しかし勇気を出して話したエリに、雅之と雅之の母親は、
「…なんだそんなこと」
「お前の母親は運が悪かっただけ」
「今の医療技術は昔より進んでいるから大丈夫だ」
「エリは怖がりすぎ」
と、バ力にするように言う。
雅之の母親はともかく、雅之まで一緒になってそんなことを言うことにエリは心底ショックを受ける。
そんな中、雅之の弟夫婦は幸いにもエリの味方になってくれ、雅之と雅之の母親に一喝してくれ、そのまま動揺しているエリを家の外へと連れ出してくれる。
雅之の弟夫婦のお陰で何とか落ち着きを取り戻せたエリ。
落ち着いてきたエリに雅之の弟は、
「…バ力な兄貴でごめん」
と謝り項垂れる。
雅之の弟も、少なからず兄の発言にショックを受けているようだった。
項垂れる雅之の弟は続けて、
「兄貴は昔から長男として何かと両親からプレッシャーをかけられてきたせいで…少しおかしくなってしまった。
エリさんと結婚して少しはマシになったと思ったんだけど…」
と、兄について苦しそうに話す。
エリは雅之の弟の話を聞いて、
『…今まで子供のことでこんなに悩むのは女だけだと思ってたけど、男の人も男の人で子供に対して女にはわからない悩みがあるのかもしれない』
と、ショックを受けつつも今まで考えつかなかった新たな視点に思い至る。
『…ともかく、私たちは一度ちゃんと話し合わなければいけない』
と、エリは意を決してもう一度雅之と向き合う覚悟を決めるのだった。
⑥雅之の葛藤
雅之の実家でのことがあった数日後、エリは雅之との関係が若干和らいできたタイミングを見計らって、
「…雅之は本当に子供が欲しいの?」
と、そっと聞いてみる。
「当たり前だろ!」
と答える雅之に、
「…でも雅之は子供のことを夫婦として『普通』とか『当然』とか言うけど、今まで『欲しい』とは一言も言ってないんだよ」
と、エリは静かに続ける。
そんなエリの言葉に、雅之は少しハッとする。
『…確かに。…俺は子供を“欲しい”と思っているのか?…それとも“必要”と思っているのか?』
そんな疑問が芽生えた雅之。
このエリの発言を堺に、雅之は自分でも自分の気持ちがよくわからなくなっていく。
そして、そんな迷いの生じた雅之には今まで聞こえてこなかった周囲の声が聞こえ始める。
例えば、
『出産の痛みや恐怖は、母せいや医療では乗り越えられない』
という話。
さらには、
『女がみんながみんな子供を欲しがるわけではない』
という話。
今までだったら一笑に付して耳に入らなかったであろうそんな周囲の話が耳に入ってくるようになり、雅之はますます混乱し始める。
そんな雅之はだんだんと、
『…子供を産んだ方が女せいは幸せだと思う俺は、間違ってた?』
と思うようになっていく。
しかし、そんな考えを雅之は慌てて掻き消そうとする。
『いやいや…そんなことはない!女は子供を産むべきなんだ!男は子供を持って初めて一人前なんだ!だからちゃんと子供を作るべきなんだ!
だって、ちゃんとしないと…
ま た 父 さ ん に 叱 ら れ る 』
そこまで考えたところで、雅之は急にハッとする。
『…いや30にもなって、父さんに叱られるってなんだ?』
と苦笑いを浮かべた雅之は、その時初めて、
『自分は教育熱心だった父親の影に未だに怯え続けている…?』
という事実に思い至る。
長男として両親からしっかりするようにとプレッシャーをかけられ続けて育った雅之は、未だにその呪縛から抜け出せずにいるのだった。
⑦子供のいない人生か離婚か…選んで!
今まで信じてきた価値観がいろいろと揺らいできた雅之は、
「…俺、ここ最近いろいろあって、今まで自分が信じてきたものが少しずつ違うんじゃないか?と思えてきて。
…今では、産まない選択もありなんじゃないかって思う時もある」
と、今の正直な気持ちをエリに話す。
以前の雅之からは考えられない発言にエリは希望を感じて顔を明るくするが、しかし雅之は続けて、
「…だけど無理だ。子供を持たないなんて決断を簡単にはできない。
子供のいない将来を想像するとゾッとする、漠然とだけど」
と、苦しそうに話す。
雅之は雅之で、未だに答えの出せない問いに悩み続けているのだった。
そんな雅之に、
「…じゃあ雅之に選んで欲しい。
子供のいない人生か、私と離婚して子供を産める別の女せいを探すか」
と、エリは静かに伝える。
エリは、
『お互いの価値観が合わない以上、一緒にはいられない。
雅之がどうしても子供が欲しいのならば…早く私から解放してあげないといけない』
と考えていたのだった。
「…返事はいつでもいいから」
と続けるエリに、雅之は黙り込んでしまう。
⑧親かエリか
エリに「選んで」と言われたものの、『いい子でいなければ』という両親の呪縛からどうしても抜け出せない雅之は未だにエリへの返事を保留にしたままでいた。
そんなある日、最悪なことに雅之の父親が、
「早く子供を作れ!」
と、雅之たちの家に乗り込んで来た。
雅之の父親は散々雅之に暴カを振るいながら暴言を吐き、最後にはエリにも、
「子供も産まん女が御子柴家の嫁を名乗るな!出産なんて犬でもできるぞ!」
と酷い言葉を浴びせて帰っていく。
雅之の父親の今までになかった直接的な暴言にすっかり怯えてしまったエリだったが、雅之もまた久しぶりの父親の暴カと暴言にすっかり意気消沈してしまう。
せっかくエリの言葉に耳を傾けられるようになっていた雅之だったが、この一件で再び雅之は、
「…やっぱり親には逆らえない」
と、心を閉ざしてしまう。
そんな雅之の元に、騒ぎを聞き付けた雅之の弟が駆け付けてくれる。
雅之の弟は、
「…兄貴は今でも俺の上でいなきゃっていうプレッシャーがあるんだな。
でも『子供がいる方が上』だなんて、そんな考えは今時ナンセンスだ!そんな価値観は親の世代のものさしだ!」
と必タヒに「親の言い分はおかしいんだ」と雅之を諭すが、弟に諭されても尚雅之は、
「親に反対されてた片親のエリとの結婚は、俺のわがままを通したんだ…。
だからこれ以上はもう親をないがしろにすべきじゃない…」
と、親の望むいい子でいなければいけないという考えがやめられない。
そんな取り付く島もない雅之に、
「…でも親との関係がここまで拗れたらもう、『親も奥さんもどっちも大事に』は無理なんじゃないかな」
と、雅之の弟は静かに話す。
そして、
「兄貴がこの先もエリさんと一緒にいたいなら…父さんと母さんと縁を切るしかないと思う。
兄貴は親かエリさんか、どちらかを選ぶべきだ」
と、雅之の弟は兄に対して厳しく伝えるのだった。
⑨雅之は両親と縁を切れるのか?
弟に諭されるも、
『…そう簡単に親と縁を切れるものか!』
と葛藤を続ける雅之。
しかしエリへの返事を待たせている現状、あまり悠長に考えてもいられないと雅之は焦る。
そんな中、エリは雅之の返事を急かすわけでもなく普段通りに接してくれる。
考えすぎて自暴自棄になる雅之にも、
「ひとりで背負い込まないで、少しは私に頼ってよ。私雅之と支え合うために夫婦になったつもりだから」
と、笑顔を向けてくれるエリ。
そんなエリの優しさに、
『俺は自分の保身ばかり考えているのに…エリは俺の味方でいてくれる』
と、雅之は自分のことが恥ずかしくなる。
そして、自分へのやるせなさとエリの無条件の優しさに雅之は堪え切れず涙を流す。
そんな雅之のこともエリは黙って受け入れてくれた。
ひとしきり泣いた雅之は、
「…エリ、俺やっぱり、両親と縁を切れる自分になりたい」
と、ポツリと呟く。
雅之はようやく両親よりもエリを選ぶ覚悟を決めたのだった。
⑩両親と絶縁した雅之
「両親とは縁を切る。俺はエリを選ぶ」
と覚悟が決まった雅之は、早速両親と話し合うためにエリと一緒に実家へ向かう。
雅之とエリの姿を見た雅之の父親は、相変わらず、
「孫も産まない役立たず嫁が!お前の嫁のせいで俺の人生はめちゃくちゃだ!子供を産まないのなら早く離婚しろ!」
と口汚く二人を罵るが、エリを選ぶと決めた雅之はそんな父親に対して、
「…さっきから父さんが言ってることは、全部、間違ってる。
エ、エリの悪口ばかり言わないでくれ。ちゃんと話し合いをしよう、父さん!」
と、震えながらもしっかりと自分の気持ちを口にする。
しかし今まで従順だった息子がまさか反抗してくるとは思わなかった雅之の父親は、驚愕に目を見開いたのち、
「…っこの、恩知らずが!」
と、顔を真っ赤にして雅之に拳を振り上げてくる。
そんな雅之の父親の拳から雅之を守ろうと、エリはとっさに雅之にしがみつく。
自分を守ろうとするエリに、
『ダメだエリ!前に出るな!俺が殴られておけばそれで済むんだから!』
と雅之は内心で慌てつつも、
『子供の頃からいつもそうだったんだから。
いつも、いつも、それで事が収まっていたのだから。
…あれ?
でもそれで何かが解決したことがあったのか?
…いや、これ、本当に、
俺 が 殴 ら れ る 必 要 あ る の か ?』
と急に疑問に感じ、咄嗟に父親の拳を手で防いでグイッと押し退けてしまう。
それほど強く押し退けたわけではなかったが、意外にも雅之の父親はその場に“こてん”と転んでしまう。
そんな父親を見た雅之は、
「え!?あ、ごめん父さん、まさか転ぶなんて…」
と、意表を突かれたような顔をしつつも慌てて謝る。
雅之の父親もまた、
『…息子に軽く手を押し退けられただけでまさか転ぶなんて』
と、自身の老いに呆然とする。
それは父親と息子のパワーバランスが完全に逆転した瞬間だった。
微妙な空気になる中、雅之の父親はすっかり意気消沈したように座り込んだまま動かなくなってしまう。
そんな父親に、
「…今日は帰るね、父さん」
と雅之は複雑そうな表情を浮かべて言い残し、とりあえずエリと共に実家をあとにするのだった。
帰りの車内で雅之は、
「…始めてだ、始めて俺、父さんに負けなかった!」
と、感極まったようにボロボロと涙を流す。
そんな雅之に、
「…うん、頑張ったよ雅之」
と、エリも優しい笑顔を向ける。
ーーーーーー
その後、雅之は再度両親と話し合うためにひとりで実家を訪れる。
『この間のことで何か変わるかもしれない…』と若干の期待を持っていた雅之だったが、相も変わらず両親はやはり雅之の言うことには耳を傾けずに、
「子供を産まない女とは離婚しろ!親の言うことが絶対だ!」
と頑なに自らの主張を曲げない。
そんな両親に、雅之はいよいよ、
『この両親と分かり合うのはもう無理なんだ…』
と悟り、
「あなたたちと、絶縁させてください」
と土下座をし、両親に絶縁宣言をして実家をあとにする。
突然の息子の絶縁宣言に、
「…ふざけるな!親を捨てる気か!?」
と雅之の両親は驚いた様子でさらに喚き立てるが、雅之が後ろを振り返ることはもうなかったのだった。
↑今ココ(56話)
シングルマザー野川さんのこれまで
あらすじを簡潔にするために『何かと雅之に絡んでくるシングルマザーの野川さん』については一切あらすじに含みませんでしたが…
野川さんについて気になる方は今までの野川さんの行動についてカンタンに下にまとめましたのでよろしければ参考にしてみてください↓
【今までの野川さんの行動】
別れた夫が復縁を迫ってストーカー化
↓
私ひとりでは幼い息子を守り切れないかも…
↓
男手が欲しい!
↓
同じ会社の御子柴くん(雅之)をエリさんから略奪して結婚して男手をゲットしたい!
↓
雅之にちょっかいをかける
↓
雅之に一切相手にされず…
↓
なんやかんやあって心を入れ替えて反省
↓
雅之とエリが行きがかり上、夫から逃げる野川の手助けをするようになる
↓
そんな中、野川の夫が野川とエリと雅之の前に現れて…!?←今ココ(56話)
だいたいこんなことが大筋の夫婦の話と並行して描かれています。
レビュー・感想
※このあらすじは33話まで読んだ時点で書いています。
既婚者、独身者、子なし、子あり、不妊、DV、義実家問題…
いろいろなタイプの悩みが詰め込まれていて、非常に興味深い作品ですね。
現代人の子供関係の悩みをすべて詰め込んだお話といった感じがします。
『多産DV』なんて言葉、この作品で初めて知りました。
そんなDVがあるのですね。
子供を多く作って妻を縛りつけようなんて…恐ろしいですね。
夫婦のすれ違い描写が多くて結構読んでいてストレスが溜まるところもありますが、興味深くてどんどん読んでしまいます。
割りと雅之のことを悪く描く描写が多いですが、私は「子供は欲しくない」と結婚前にちゃんと話しておかなかったエリのことも正直どうなの?とちょっと思ってしまいました。
後出し感ありますよね。
だいたい結婚する人は当然のように子供を望むと思いますので。
まぁ「そもそもその常識はどうなの?」「その常識を覆していこう!」みたいな問題提起のお話というのは理解できるのですが、それでも結婚したあとに子供を望まない人というのはまだまだ少数派な気がするので、話しておかなかったエリにも非はあるのではないかなと思いました。
そもそも世間的にとか常識的にとか言う前に、二人の問題として結婚後の人生設計は話し合っておくべきだったのではないかと…。
まぁそれはともかく、これからどうなっていくのでしょうか?
エリと雅之はどう決断するのか?
子なしで生きていくのか?
それとも離婚するのか?
まったく予想がつかなくて楽しみです!
…でも、個人的には子なしで生きていく決断をするんじゃないな?とちょっと思っています。
「これだから専業主婦は…w」
急にネットに毒され、痛い発言をするようになった栗太。
そんな栗太の末路とは…!?
「ネットに毒され過ぎた兄の末路」↓
「モテ度=人の価値なのよ!」
と豪語する美人なまみは、実は整形美人だった!
整形を重ねる内にだんだんと崩れていくまみの顔。
しかし本人だけがそのことに気付かない…。
「人の価値はモテ度で決まる!?」↓
「俺が全部食べてあげる!」
付き合った彼氏は“食い尽くし系”だった!
マルは彼氏の食い尽くしを治すことができるのか!?
「女は少食で然るべき」(完結済)↓
「モラハラ夫は99%変わらない」
でも私の夫はきっと変わってくれるはず!
残り1%に賭けた彩の運命とは…!?
「99%離婚 モラハラ夫は変わるのか」(完結済)↓