引用元:笑ゥせぇるすまん『谷間の灯』
珍しい『笑ゥせぇるすまん』のハピエン回まとめ、パート12!
ということで今回は、
「笑ゥせぇるすまんのハッピーエンド回 第95話『谷間の灯』のあらすじ・レビュー」
についてご紹介していきたいと思います!
あらすじ・レビューにネタバレを含みます。
セリフは省略しているため一語一句同じではありません。
ご了承ください。
笑ゥせぇるすまんハピエン一覧
① チ漢さん
② 五月病
③ 愛妻写真
④ カンヅメのペット
⑤ 極楽風呂
⑥ 離婚倶楽部
⑦ ガラス越しの愛
⑨ 日曜クラブ
⑪ 点滴症患者
⑫ 谷間の灯 ←今ココ
⑬ 永遠のすみか
⑮ 夜行列車
⑯ 主夫道
⑰ 大恋愛(SP)
⑱ ダミイ
『谷間の灯』はこんなお話
ハピエン度 ★★★★★
後味のよさ度 ★★★★★
怖さ度 ★★☆☆☆
グ口度 ☆☆☆☆☆
『谷間の灯』のあらすじ
妻と2人の子供とマンションに住んでいる、サラリーマンの宇佐木 生士(39)
家族仲も良く平和に暮らしていた宇佐木だったが、宇佐木は最近子供たちが大きくなってきて家が手狭になってきたことに悩んでいた。
そんな宇佐木は、ある日おでん屋で喪黒福造と出会う。
家が手狭だと悩む宇佐木に、
「田舎なら十分な広さの部屋が手に入りますよ」
と、喪黒は田舎の家を進め、
「良い不動産屋さんをご紹介しますから一度訪ねてみてください」
と、宇佐木に不動産屋を紹介する。
後日、喪黒に紹介された不動産屋と共に宇佐木は家族を連れて田舎の家の内見に行ってみる。
内見した家は囲炉裏があるような古い家だったが、とても大きくて部屋数も十分にあった。
宇佐木の妻と子供たちは、
「広くて素敵!」
とその家を一目で気に入り、家の中をはしゃぎ回る。
そんな中、宇佐木に一通り家の説明をし終わった不動産屋は、
「あーそれからなぁ、あっちの谷には行かんほうがええよ」
と、最後に遠くの谷を指差して言う。
「何かあるんですか?」
と宇佐木が聞くと、
「よーく霧がかかるから迷いやすいんだなぁ、こりがよぉ」
と不動産屋は答える。
宇佐木がその谷の方を見てみると、確かに霧がかかっているのか薄ぼんやりとしていた。
しかしその谷の方から微かに「かごめかごめ」の童謡が聞こえてきた気がして、宇佐木は不思議そうにその谷を眺める。
結局、家族も気に入ったということでその家を借りることにした宇佐木。
田舎で暮らし始めた宇佐木一家は、都会でのごみごみとした生活とは違い時間がゆっくりと流れているような田舎での生活がすっかり気に入り前よりも生き生きと生活していた。
後日、宇佐木は再び会った喪黒に、
「女房や子供たちが気に入ったようなので思い切って借りることにしました。
その代わり私だけは元のマンションから会社に通い、家族のところへは週末にしか帰れません。
しかし最近は我が家へ帰るのがとても待ち遠しくなりました。喪黒さん、本当にありがとうございました」
と田舎の家を借りることにしたことと、自分は週末だけ田舎の家へ帰っていることを報告する。
「そりゃ良かったですなぁ」
と言う喪黒に、
「…しかし、私はしんどいんですよ。あっちの家とこっちのマンションじゃあ生活環境が違いすぎますから。
仕事があんなにハードでなければ毎日帰りたいとこですが…」
と、宇佐木は都会と田舎との二重生活が少しツライと零す。
そんな宇佐木に、
「ま、早く慣れることですなぁ」
と喪黒は言い、宇佐木は喪黒の言葉に苦笑いを返す。
一方その頃、田舎の家に居る宇佐木の妻と子供たちはぐっすりと眠りについていた。
しかし深夜、宇佐木の妻はどこからか聞こえてくる「かごめかごめ」の歌にぼんやりと目を覚ます。
辺りには濃い霧が立ち込めていた。
週末。
宇佐木は忙しい仕事から解放されてやっと田舎の家へ帰れることを喜んでいた。
しかしそんな宇佐木に、
「今夜一杯やらんかね?うちへは明日の日曜に帰ればいいだろう、な」
と、宇佐木の会社の課長が声をかけてくる。
一刻も早く田舎の家に帰りたい宇佐木だったが、上司の誘いを断るわけにもいかず仕方なく宇佐木は課長と共に呑みに行く。
宇佐木は呑みの最中、
「今日は帰れなくなった、明日の日曜日に帰る」
ということを妻に電話しようと公衆電話へと向かう。
しかし公衆電話から家に電話をしてみても何故か誰も出ない。
不思議に思った宇佐木は課長との呑み会が終わったあとに再度公衆電話から家へ電話をかけてみるが、やはり電話には誰も出ない。
「…どうしたんだ!?なぜ誰も出ないんだ!?」
と、宇佐木は不安になってくる。
そんな宇佐木の元へ、
「もしもし、どうかしましたか?」
と、喪黒が現れる。
「も、喪黒さん!?うちに電話しても誰も出ないんですよ!な、なにか、不吉な予感がするんですが…」
と、青ざめながら宇佐木は喪黒に事情を説明する。
すると喪黒は、
「すぐに帰りなさい。夜行に乗って今すぐ家族の元へ、帰るのです!ドーン!」
と、宇佐木に指を差す。
喪黒に帰るように言われた宇佐木は慌てて夜行列車に乗り田舎の家へと急ぐ。
列車を降りた宇佐木は一目散に家へと駆けて行く。
しかしその途中、宇佐木の耳にどこからか「かごめかごめ」の歌が聞こえてくる。
その歌にピタリと足を止める宇佐木。
歌はどうやら霧の濃い谷の方から聞こえてくるようで、宇佐木はそちらに目を向ける。
そして宇佐木はそのまま何かに導かれるようにフラフラと霧の中へと吸い込まれて行く。
数日後、宇佐木の会社の課長は宇佐木が急に出勤してこなくなったことを心配していた。
何かあったのかと気になった課長は、宇佐木の田舎の家へ様子を見に行くことにする。
しかし宇佐木の家へと向かう途中、課長の耳にもやはり「かごめかごめ」の歌が聞こえてくるのだった。
さらに数日後、宇佐木の会社の社員たちは宇佐木に続いて課長まで会社に来なくなったことを心配していた。
どうしたんだろうと噂し合う社員たちの中には、
「ま、しかしこう仕事がハードじゃ蒸発もしたくなるよなぁ…」
と、分からないでもないという顔をする者もいた。
一方その頃、現世から離れたように存在するとある霧の濃い谷間の村では宇佐木と課長が仲良く畑仕事をしていた。
辺りには宇佐木たちと同じく畑仕事をする人や川で洗濯をする人や原っぱで遊ぶ子供たちがいて、ここだけひと昔前で時間が止まっているようだった。
そんな穏やかな空間で畑仕事に精を出す2人の元へ、おにぎりを持った宇佐木の妻と子供たちがニコニコとやって来る。
宇佐木と課長は畑仕事の手を止め、幸せそうに宇佐木の妻と子供たちへと振り向くのだった。
『谷間の灯』のレビュー
このお話は正真正銘のハッピーエンドですね!
とってもハッピーエンド!
質素ながらも平和な谷間の住人となった宇佐木さん一家と課長。
仕事に疲れた宇佐木さんが最後救われてホッとします。
『笑ゥせぇるすまん』に出てくる客は結構家族仲が悪い場合が多いですが、宇佐木さんの家族は家族仲もいいためそこもストレスなく見れます。
客の妻と子供がこんなに普通にいい人というのは非情に珍しい気がします。笑
宇佐木さんの課長も強引に呑みに誘うから最初嫌な人なのかと思いきや、最後宇佐木さんのことを心配して家まで様子を見に行ってくれる普通にいい人なのでなんか安心します。
しかも、最後ついでのようにしれっと課長も一緒に谷間の住人になってるのもいいですね。笑
この話は第61話『極楽風呂』と同じく悪い人が1人も出てこないのが好きです。
あの喪黒さんでさえも、この話では何だかいい人に見えてくるくらいです。笑
というのも、この話では非情に珍しいことに、
「たーだし、◯◯してはいけませんよぉ」
という、いつもの喪黒さんの忠告や注意喚起が一切ないのですよね。
喪黒さんはただ宇佐木さんに田舎の大きな家を勧めて、ただ宇佐木さんに不動産屋を紹介しただけです。
話の中盤で宇佐木さんから「女房や子供たちが気に入ったようなので思い切って借りることにしました」という報告を受けた時も、
「そりゃ良かったですなぁ」
「ま、早く慣れることですなぁ」
と当たり障りのない返事をして、ただ穏やかに宇佐木さんの話を聞いているだけですしね。
いつもならだいたいここで、
「そうですか。…たーだし、絶対に○○してはいけませんよぉ」
という忠告が入りがちなのですがね。
…喪黒さん、どうしちゃったのでしょう。笑
そのあとの、宇佐木さんが家族と電話が繋がらないと焦っているシーンでも、
「すぐに帰りなさい。夜行に乗って今すぐ家族の元へ、帰るのです!ドーン!」
と、まるで普通の人のように至極まっとうなことを言っていますしね(それは「ドーン!」して言うことなのか…?)
本当に喪黒さんどうしちゃったのでしょう?
ただのいい人じゃないですか…。
なのでこの回の客の宇佐木さんは珍しく喪黒さんとの約束を破っていない(そもそも何も約束をしていない)ただの家族思いのいい人で、喪黒さんも田舎の大きな家を宇佐木さんに紹介しただけのただのいい人です。
何だこの平和回。笑
悪い人が1人も出てこなくて、客も普通にいい人で、客の家族も普通にいい人で、周りのモブもいい人で、喪黒さんもいい人で、最後はハッピーエンドという…この話はもしかしたら『笑ゥせぇるすまん』史上一番の平和回かもしれないですね。
あと、この話は最後日本昔ばなし風な作画になるところがお洒落で気に入っています。
ちょっと色鉛筆風タッチというか、なんだか絵本みたいな淡いタッチになるのですよね。凝っています。
色鉛筆風タッチの淡い喪黒さん、可愛いです。笑
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引用元:笑ゥせぇるすまん『谷間の灯』
【全話】『笑ゥせぇるすまん』のネタバレ・レビュー
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