引用元:笑ゥせぇるすまん『初恋の人』
「第21話『初恋の人』のネタバレ・レビュー」
についてご紹介していきたいと思います!
「この話の流れを簡潔に知りたい」
「この話のおさらいをしたい」
「この話のオチってどんなだったっけ?」
と気になる方はぜひご覧ください。
あらすじ・レビューにネタバレを含みます。
セリフは省略しているため一語一句同じではありません。
ご了承ください。
『初恋の人』はこんなお話
バドエン度 ★★★★☆
怖さ度 ☆☆☆☆☆
グ口度 ☆☆☆☆☆
『初恋の人』のあらすじ
初恋の人が忘れられない、主婦の恋野 夢美(36)
恋野には学生時代に結婚を誓い合った恋人がいたのだが、その恋人は陶芸家志望だったため、
「貧乏な陶芸家志望の青年なんかとんでもない!」
と両親に反対され、泣く泣く別れさせられたという過去があった。
その後、大人になった恋野は別の男せいと結婚。
専業主婦になり子供もできた恋野だったが、恋野は未だに初恋の人のことをどこか忘れられずにいた。
そんなある日、恋野は初恋の人が陶芸家として成功し脚光を浴び初めたことを知る。
個展も開いていると知った恋野は、場所が近所だったこともあり家族に内緒でその個展へと行ってみる。
個展では作品の販売もしていたため恋野はどれか買っていこうかと作品を手に取ってみたが、作品にはどれも高額な値段が付けられており恋野はとても買って帰れないと足早にその個展をあとにする。
そんな恋野は、帰り道で喪黒福造と出会う。
初恋の人が開いている個展へと行って来たと話す恋野に、
「どうです?思い切って会ってみたらいかがですか?」
と、喪黒は初恋の人に再会したらどうかと勧める。
しかし恋野は、
「いいえ!とんでもありません!私には主人も子供もいます。…ただちょっと感傷的になっていただけなんです、失礼」
と言い、慌てて喪黒の前から立ち去る。
恋野は初恋の人を忘れられないとは思いつつも、今の生活を壊す気はないのだった。
しかし恋野が個展へ行ったその日の夜、恋野の中学生の娘が夜遊びの非行で補導されるという騒動が起きる。
恋野の夫は、
「お前がしっかりしてないからだ!お前が悪い!」
と、娘の非行はお前のせいだと一方的に恋野を責める。
自分の言うことを聞かない反抗的な娘と、呑み歩いてばかりのくせに一方的に自分を責める夫にうんざりした恋野は、
「みんな勝手なんだから!もう嫌!私の人生って何だったの!?もしあの時陶吉さんと一緒になってたら…」
と、初恋の人と一緒になっていたら今頃自分は愛する人ともっとリッチな生活が送れていたはずだと悔しがる。
そんな恋野は居ても立ってもいられず、再び初恋の人の個展へと足を向ける。
個展へと来てみた恋野だったが、
「バ力ね、こんなとこ来てもどうにもならないのに…」
と自嘲し、悲しげに家へと引き返す。
しかしその帰り道、恋野は偶然初恋の人と再開する。
「…夢美さん?夢美さんじゃありませんか!?」
と嬉しそうに声を掛けてくる初恋の人の唐津 陶吉に、
「陶吉さん…!」
と、恋野は感動したように涙を浮かべる。
その後唐津の豪邸へと招かれた恋野は、
「私がバ力だったわ、やり直せるものならやり直したい、みんな私が悪かったの…」
と、泣きながら私はあなたと一緒にならなかったことを後悔していると唐津に告げる。
そんな恋野に、
「どうやらあなたも幸せではないようですね …。いや悪いのは僕だ、あの時君を連れて逃げていればよかったんだ」
と、唐津もまた恋野と一緒にならなかったことを後悔していると話す。
唐津は恋野と別れたあと商才のある女せいと結婚し陶芸家として世間に名を売ることができたが、その代わり妻に頭が上がらなくなり窮屈な思いをしているようだった。
不幸な境遇の2人は20年の時を経て惹かれ合う。
唐津は、
「夢美さん、今からでも遅くない、もう一度僕と2人で…」
と言いながら恋野に身を寄せる。
しかしそんな中、唐津の妻が部屋へと入ってくる。
「あ〜ら?これは一体どういうことかしら?」
と呆れたように2人を見る唐津の妻は、
「泥棒猫なんかを引き摺り込んだりして、あなたによくそんなことができるわね、商売のイロハも知らないあなたがここまでになったのは誰のおかげだと思ってるのかしら?」
と、唐津を挑発する。
そんな妻に、
「うるさい!もうお前の言いなりにはならん!」
と、唐津は声を荒げる。
この状況に居た堪れなくなった恋野は、
「あ、あの私、これで失礼します…!」
と、逃げるように唐津の豪邸から出て行く。
唐津の豪邸からトボトボと帰る道中、恋野は再び喪黒と遭遇する。
「どうしましたぁ、人生をやり直すチャンスですよ、また味気ない毎日を送りたいのですかぁ?」
と、恋野へ声をかける喪黒は、
「今こそ希望へ満ちた明日へ旅立つのです、ドーン!」
と指を差す。
喪黒に指を差された恋野は、
「…そうよ、人生をやり直すのよ、今からでも決して遅くないわ、私だってまだまだ若いんですもの!」
と、その後急いで家へと帰り荷物をまとめる。
そして唐津へと電話をかける。
そのままひとり駅へと向かう恋野。
駅では唐津が腕を広げて待っていてくれた。
自分と一緒に逃げてくれるつもりで駅へと来てくれた唐津の腕の中へ、恋野は嬉しそうに飛び込む。
そうして2人は、共に家族を捨てて逃避行をするために電車へと乗り込むのだった。
翌日、恋野の家では、
「おはよ〜お父さん」
「おぉ〜!今朝はヒトミが味噌汁を作ってくれるのかぁ」
「…私、今日からいい子になるね!」
「お父さんも、やっと課長に昇進したもんでつい浮かれて呑みすぎてしまった…」
「私もお母さんに謝らなきゃ…」
「あぁ、やっと母さんを楽にさせてあげられるよ!」
「お母さんご飯よ〜、…お母さん?お母さんどこ〜?」
と話す恋野の娘と夫の姿があった。
一方逃避行をした恋野と唐津は、山奥の粗末な家で2人での生活を始めていた。
しかし唐津の陶芸は今までのようには売れず、仕方なく恋野がパートに出て生計を立てていた。
陶芸が売れない唐津は日に日に苛立つようになり、パートから帰って来た恋野に、
「遅いぞ!何やってんだ!」
と声を荒げる。
そんな唐津に、
「何よ…私だって行きたくってパートに行ってるわけじゃないわよっ!」
と、恋野も辛そうに言い返す。
唐津の今までの財産は慰謝料としてすべて元妻の手に渡ってしまったため唐津はまた一から陶芸を作って売らなければならなかったのだが、商才のある元妻がいなくなったため唐津の陶芸はまったく売れなくなってしまったのだった。
そのため唐津は、
「お前が俺の作品を売ってくれればラクに暮らせるんだ!…その点前の女房は立派だったよ!」
と、恨みがましそうに恋野に愚痴る。
そんな唐津の言い草に、
「そ、そんな言い方って…」
と恋野は傷付いたように言い返し、
「私の人生って何だったのよぉ!」
と叫ぶのだった。
『初恋の人』のレビュー
最後に恋野さんの娘と夫が改心し、恋野さんのことを労っているのが何とも後味が悪いですね。
覆水盆に返らず。
初恋の人に再会せずあのまま家にいれば恋野さんはそれなりに幸せになれたでしょうに…何とも切ないです。
まぁ恋野さん本人が娘と夫が改心したことを知らないのがまだ救いですかね…。
そして、実は陶芸の才能はなく妻の商才の力で陶芸が売れていた唐津さん。
喪黒さんが話の冒頭の方で、唐津さんの作品の18万円の湯呑を恋野さんに手渡しながら、
「これ50円で結構ですよ、こんなものその程度の値打ちしかありません」
と言っていましたが、喪黒さんはある意味陶芸を見る目があったのですね。笑
そしてわざわざ18万円を支払って湯呑を買い、恋野さんに50円で売る喪黒さん。
客ひとり破滅させるのに結構なお金をかけていますね。笑
まぁ喪黒さんのことなので勝手に持ってきてしまった可能せいもありますが…。
それにしても、どこにいても『こんなはずじゃなかった、私の人生って何だったのよ!』と思う恋野さんみたいな心理って何だか自分の中にも微妙にあるような気がして、ちょっとこの話は身につまされました…。
よくないですね、今いる環境のいいところを見るようにしないと。
それがなかなか難しいのですが…。
あとこの話は、最後の方で喪黒さんが踏切の向こう側から「ドーン!」するのが何だかお洒落で好きでした。
いいですね、踏切の向こう側にぼんやりと影で現れる喪黒さん。
そして『カンカンカンカンカン』という踏切の音をバックにした「ドーン!」
とんでもなく不穏な雰囲気です。
また「ドーン!」の前の、
「どうしましたぁ、人生をやり直すチャンスですよ、また味気ない毎日を送りたいのですかぁ?」
という喪黒さんのセリフの、
「どうしましたぁ」
の言い方がやけに優しげで、それがこのシーンの不穏な雰囲気にさらに拍車をかけていて良かったです。笑
【全話】『笑ゥせぇるすまん』のネタバレ・レビュー
笑うセールスマン わらうせえるすまん もぐろふくぞう 感想